第6話:退院予定日なのに、何も決まらない日|生後5日目

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目次

退院の朝に届いた「まさかの連絡」

退院当日の朝。

昨晩から続く嘔吐と下痢で体はボロボロだった。それでも今日は動ける状態でいなければいけない。そう自分に言い聞かせ、カロナールを飲んで無理やりスイッチを入れた。

そんなとき、妻から一本の連絡が入る。

「ベビーの黄疸の数値が高いから、今日退院できるかわからないって。」

——黄疸?
正直、すぐに読めなかった。

黄疸(おうだん)とは

赤ちゃんの血液中のビリルビンという成分が増えることで、肌や白目が黄色く見える状態。新生児には比較的よく見られるが、数値が高い場合は治療や経過観察が必要になる。

病院がそう判断するなら従うしかない。でも、どう動けばいいのか誰もわからない。

  • 僕も
  • 妻も
  • 両家の母も
  • 会社も

全員が「連絡待ち」という、なんとも落ち着かない時間を過ごしていた。

もともと退院は11時予定。
その時間にならないと可否がわからないという。

予定があるのに、予定が立てられない。
父になると、こんな瞬間が何度も訪れるのだと知った。

「退院できるって!」その一言で力が抜けた

仕事の合間、何度もスマホを確認していた。

すると画面に妻の名前。

「退院できるって!」

その一文を見た瞬間、体の力が一気に抜けた。

すぐに返信する。

「いつ迎えに行けばいい?」

返ってきたのは、

「いつでも大丈夫だよ。」

時計は11時頃。

この日はたまたま現場が自宅から近かった。急いで帰宅し、着替えて車へ飛び乗る。絶不調の体にムチを打ちながら、「ちょっと待ってて」と心の中でつぶやいた。

とにかく——退院できる。それだけで十分だった。

ようやく迎えに行けた、5人家族になる瞬間

11時20分頃、ほぼノンストップで病院に到着。駐車場に車を入れると、足早に病棟へ向かった。

妻はすでに着替えを済ませ、面会室で待っていた。

小さなベビーを見たとき、ふと心配になる。外の寒さに驚かないだろうか。温度差は大丈夫だろうか。

でも、過剰に守ることはできない。温かく包み、家へ連れて帰る。それが今できる最善だった。

会計は17万8000円。現実的な金額に一瞬たじろぎながらも、迷いはない。命の重みだ。

車を走らせ、家へ向かう。

「おかえり」で始まった、新しい日常

12時10分、到着。

家では両ばぁばと、ズル休みした長男、そして起立性障害と向き合いながら頑張っている長女が待っていた。

玄関を開けた瞬間、空気が変わる。

「小さい!」
「かわいい!」

代わる代わる抱っこされるベビー。

その光景を見ながら、ようやく実感した。

——本当に5人家族になったんだ。

だが、感慨に浸る時間は長くない。午後から仕事がある。

まずは体調を戻さなければならない。

昼食も取らず、そのまま布団へ倒れ込む。とにかく眠る。回復させる。それも父の役目だ。

休むのも、戦略のひとつ。

父親に「万全な日」なんて、きっと来ない。

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